GIST診療ガイドライン

画像診断のポイント

GISTのイマチニブ投与後の治療効果判定

GISTの初期治療で切除不能・残存病変がある場合、または再発・転移病変が画像診断により見つかった場合には、イマチニブによる治療が行われます。
  • GISTではイマチニブ治療に反応していても、早期の段階(治療開始後2ヵ月)ではCT上、腫瘍体積・最大径に変化がない、または増大傾向を示すことがあります(図1)。そのため、大きさの計測に加えて、治療前後のCT値の変化を測定する方法が推奨されています。

    写真 イマチニブ投与前
    イマチニブ投与前
    写真 イマチニブ投与後約1ヵ月
    イマチニブ投与約1ヵ月後
    図1:66歳女性,胃原発のGISTの肝転移に対しイマチニブ投与開始(臨床試験にて600mg/body)。治療後1ヵ月目の造影CTで,肝に多発性に見られていた転移巣は低濃度化しより明瞭に認められる。特にS7に存在する腫瘍は腫瘍径が全体として大きくなっているが,充実部は認められずほぼ完全に嚢胞化していると考えられる。
    (大阪大学放射線医学講座 金 東石先生のご厚意による)
  • 18F-FDG-PETは腫瘍の代謝変化をみることができる検査で、イマチニブ治療の効果で腫瘍全体の代謝が低下するとFDGの取り込みが減少し、再発すると亢進します(図2)。腫瘍縮小をより早期に予測できるという点で、イマチニブや他のプロテインキナーゼ阻害剤による治療をモニターする有益な手段となり得ます。ただし、2010年4月にGISTの病気診断、転移・再発診断に対しては保険適用が認められたものの、2014年4月の時点では、GISTの治療効果判定に対してはまだ認可が得られていません。
    写真 イマチニブ投与前
    イマチニブ投与前
    写真 イマチニブ投与後約1ヵ月
    イマチニブ投与約6ヵ月後
    写真 イマチニブ投与前
    イマチニブ投与前
    写真 イマチニブ投与後約1ヵ月
    イマチニブ投与約6ヵ月後
    図2:48 歳男性、胃原発のGISTに対する胃噴門側切除後、約4ヵ月後に肝転移を生じ肝左葉外側区域・右葉部分切除を行った。その後腹腔内播種を認め初診から1年後にイマチニブ投与開始(臨床試験にて600mg/body)。治療後6ヵ月目の検査で播種巣の著明な縮小と18F-FDG の取り込みの消失がみられる。
    (前獨協医科大学病院PET センター 村上康二先生のご厚意による)
  • イマチニブの継続投与中の画像モニタリングの間隔については、最初は1~2ヵ月ごと、その後変化がみられない限りは3~6ヵ月ごとのCTによる経過観察が推奨されます。