薬剤治療中の患者様へのアドバイス

スーテント®服用中の患者様へのアドバイス~副作用の対処法

質問と回答

出血や傷ができやすいときの対処法を教えてください。

歯ぐき、鼻、お尻などから出血があったり、出血するとなかなか止まらなかったり、あるいは体にあざがよくできたりすることは、がんが小さくなっていく過程でよくみられる症状ですが、血液を固まらせる物質がスーテント®の服用で減っている可能性もあります。血液検査などですぐに原因は分かりますので、1日も早く受診してください。

セルフケアのポイント

  • けがをしないようにしましょう。特に大けがは大量出血につながることを意識して行動するようにしてください。
  • 歯磨きはゆっくり行い、歯ぐきから出血を起こさないようにしましょう。
  • しびれや麻痺が出てきた場合は、脳出血の恐れがあるので、速やかに医師、看護師に連絡しましょう。

抵抗力の低下(発熱、風邪様症状)に対する対処法を教えてください。

感染症にかかっていたり、白血球数の減少、または肺や膵臓の機能が低下していることが考えられます。スーテント®は、病原菌を退治する体の機能を弱めることがあります。また、人間の体には、健康を保つために必要な物質を分泌する臓器がいろいろありますが、それらの働きを弱めることもあります。原因は、簡単な検査でわかります。

セルフケアのポイント

  • 風邪をひきやすくなります。風邪を防ぐために、体をできるだけ清潔に保ちましょう。
  • 傷をつくると治りにくいので傷をつくらないようにしましょう。
  • インフルエンザが流行しているときは、外出、人ごみはなるべく避けましょう。
  • 外出するときはマスクをつけましょう。
  • 傷みやすい食べものはなるべく避けるようにしましょう。

血圧の上昇がみられるときの対処法について教えてください。

高血圧では症状がほとんどないので、できるだけ血圧を測り、自分の血圧の状態を知りましょう。

セルフケアのポイント

  • 自分の血圧をよく知るために、家庭用血圧計を使って、自宅でも血圧を測る習慣をつけ、診察を受けるときに主治医に血圧の状態を伝えるようにしましょう。
  • 高血圧の治療は、指導された方法を守ってきちんと服用し、血圧が下がったからといって、自分で勝手に中止せず、主治医の判断を必ずあおぎます。
  • もともと高血圧のある方は、毎日朝夕2回なるべく決まった時間帯に血圧を測定し、高血圧の治療で指導された食事や運動、禁煙、節酒などの生活習慣の改善、今まで飲んでいた薬を続けてください。

めまい、頭痛、肩こりの対処法について教えてください。

頭痛、頭が重い、めまい、肩こりなどは、体の異常を知らせるサインです。これらの原因には、血圧の上昇がまず考えられますが、そのままにしておくと、脳や心臓に負担がかかり、より重い病気に進む可能性があります。毎日同じ時間に血圧を測る習慣をつけ、異常に気がついたら、早めに主治医にお伝えください。正常血圧の目安は収縮期130mmHg未満、拡張期85mmHg未満ですが、症状が重い場合は降圧薬を使用することもあります。

セルフケアのポイント

  • 十分に休憩をとり、必要がないことは後で行うようにしましょう。
  • 血圧は毎日測定し、変動に気をつけましょう。血圧が高い場合は医師に相談して、必要に応じて降圧剤を処方してもらってください。また塩分摂取を控える、熱いお湯には入らないなどの高血圧一般の注意も守ってください。
  • めまいなどの貧血様症状を感じたら、診察時にヘモグロビンの検査をしてもらいましょう。

動悸や息苦しさの対処法について教えてください。

寝起きやちょっとした動作で動悸がしたり、脈が速くなる、あるいは胸の痛みや違和感(空咳や息切れなど)を感じるなどという症状の考えられる原因の1つは心臓の障害です。特に動悸や胸の症状だけでなく、全身のだるさやむくみ、あるいは横になるより座っているほうが楽だというような場合は、心臓の検査が必要です。原因が心機能の低下にあり、症状が重い場合は、ARB(アンギオテンシンII受容体拮抗薬)や利尿剤などの心不全治療薬などを使うことがあります。
また胸が痛む場合は、肺の病気も考えられます。主治医に相談し、症状をなるべく細かく説明してください。
場合によっては、スーテント®の量を減らすか、中止を検討します。

セルフケアのポイント

  • 心エコーなどによって原因を特定する必要がありますので、症状が自覚されたらすぐに医師に相談しましょう。
  • 予防法はないので、できるだけ早く主治医に症状を伝えるようにします。
  • 血圧も毎日測定し、変動に気をつけます。血圧が高い場合は医師に相談し、必要に応じて降圧剤を処方してもらってください。塩分を控える、熱いお湯には入らないなど、高血圧一般の注意も守ってください。

皮膚症状(皮膚の変色、皮膚のはれ、水ぶくれ)の対処法について教えてください。

手足にできた水ぶくれや発疹は、手足症候群とも呼ばれる副作用です。その原因はまだはっきりしていませんが、休薬期間中にもとに戻ります。皮膚の変色は薬の色なので心配はありません。服用されると、まれに白髪が増えることがありますが、休薬中はもとの色の髪が生えます。

セルフケアのポイント

  • 頻繁に圧力がかかったり擦れたりする部分に起こりやすいので、踵や足の裏、手のひらや指を毎日観察しましょう。
  • 圧力をかけたり、刺激を与えないようにして予防を心がけてください。窮屈なハイヒール、健康サンダルは履かない、熱いお湯に触れない、強いマッサージを受けないようにしましょう。入浴中は体を強い力でゴシゴシ洗うことは避けてください。
  • 長時間の立ち仕事や歩行を続けるのは避けましょう。
  • 日焼けをせず、シャンプーや石けんは刺激が弱いものを使いましょう。
  • 保湿剤や皮膚軟化剤をあらかじめ使用することも有効です。
  • ひび割れた場所には保湿クリームやステロイド外用剤を塗ります。就寝時には保湿剤を塗った上で木綿素材の厚めの手袋、靴下を使うとよいでしょう。水ぶくれができたり、痛みが強かったりするときには、主治医が皮膚科専門医を紹介しますので、すぐに相談してください。

疲労感・倦怠感(疲労、だるい、食欲不振)の対処法について教えてください。

スーテント®を服用しているときに疲労感を感じることがあります。疲労の多くは、服用開始後2週間以降にみられ、多くの場合、休薬すれば治ります。また疲労の原因の1つに甲状腺機能の低下がありますが、服用を中止しなくても甲状腺ホルモンなどのお薬と併用することで症状が軽快する場合があります。自己判断で服用をやめず、まず主治医に相談してください。

セルフケアのポイント

  • 十分な休息・睡眠をとりましょう。
  • 動作はゆっくりとすることを心がけましょう。
  • 家事や育児などは家族や友人の助けを借りましょう。
  • 重症度に応じて、薬の量を減らすことがあります。

口内炎の対処法について教えてください。

口内炎の症状は、口の中がざらざらした感じ、 焼けた感じ、食べものや液体がしみる感じ、粘膜が赤くなる発赤で始まり、痛みのない潰瘍や腫れ、膿がついたような白い斑点などが現れ、さらに進むと、痛みのある潰瘍ができたり、出血したりするようになります。口の中全体に潰瘍が広がって、食べものを飲み込めなくなるケースもあります。また歯肉が赤くなったり、腫れたりする歯肉炎の症状が現れることもあります。時に出血が見られる場合があります。このような症状がある場合には、我慢せず、主治医にご相談ください。

セルフケアのポイント

  • 日頃から口の中を清潔に保つこと、うがい薬を刺激のない程度に薄めて、こまめに口の中をすすいで細菌感染を防ぎましょう。
  • 洗口液は刺激の少ないものを使いましょう。
  • 歯垢がたまらないように、朝晩および毎食後必ず歯磨きをし、できれば舌の表面もブラッシングします。
  • 虫歯は、スーテント®の服用を始める前に治療しておくようにします。
  • 熱いもの、辛いもの、酸味の強いものなどの刺激物を避け、口の中を傷つけないようにしましょう。

排便の変化に対する対処法について教えてください。

スーテント®の影響で治療前よりも軟らかい、または水のような便が出ることがあります。症状が改善しない場合には、薬の量を減らしたり休んだりしますので、その際には主治医に相談し、指示に従ってください。

セルフケアのポイント

  • 脱水症状にならないように水分補給に努めましょう。できるだけ冷たい飲みものは避けるようにしてください。
  • 繊維質や刺激の多い食べもの、脂っこい食事はなるべく避けるようにしましょう。
  • 腹部を冷やさないようにしてください。
  • 症状がなかなか改善しない場合は、下痢止め薬や消化酵素剤を使いましょう。
  • 下痢止め薬は作用メカニズムの異なった多くの種類がありますので、医師や薬剤師に相談してみましょう。

消化器症状(吐き気やお腹の痛み)の対処法について教えてください。

スーテント®の作用により胃腸などの機能が弱っていることが考えられます。しかし、嘔吐や腹痛が激しい場合は、胃や食道を痛めている可能性もありますので、いずれにしても速やかに受診していただく必要があります。

セルフケアのポイント

  • 食事は消化しやすいように少量ずつゆっくり食べるようにしましょう。
  • ストレスをためないことも大切です。
  • 熱いものは人肌程度に冷まして食べましょう。
  • 薬でかなり改善できますので、症状が重い場合は医師に相談しましょう。

けいれん、ふらつき、てんかん様発作の対処法について教えてください。

意識がもうろうとする、手足がふるえる、てんかんのようなけいれんが起きるなど、これらは稀な症状ですが、やはりスーテント®の副作用として注意しなければなりません。けいれんが続いたり、ぼんやりする時間が長い場合は至急受診し、精密検査をする必要があります。

セルフケアのポイント

  • 症状が現れた場合は、高所作業、自動車の運転、危険を伴う作業は避けてください。
  • 可逆性後白質脳症候群(RPLS)は、高血圧、頭痛、意識のぼやけ、けいれん、視力障害の形で現れることがあります。症状が出たら、医師に相談し、必要に応じて脳の画像検査を行い、異常が見つかったら、スーテント®の使用は中止します。