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GISTについて

治療について

イマチニブについて

質問と回答

GISTについて

GISTとはどのような病気ですか?

胃や腸(消化管)の壁に発生する腫瘍で、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor;GIST)とも言われます。消化管の壁の筋肉の層にある、特殊な細胞(カハール介在細胞)が異常に増殖し、腫瘍となったものです。
参照診断・治療のトレンド「GISTの疫学:GISTとは」

GISTは普通のがんとは違うのですか?

胃がんや大腸がんなどの消化器がんは消化管の粘膜から発生するのに対し、GISTは粘膜の下にある筋肉の層に発生することが大きく異なる点です。また、同じ悪性腫瘍でも、がんとGISTを代表とする肉腫では、その性質も特徴も異なっています。
参照診断・治療のトレンド「GISTの疫学:GISTとは」

病気の進行について教えてください。

GISTは、腫瘍細胞の細胞膜にあるKIT、またはPDGFRαという蛋白の異常が主な原因であることがわかっています。この蛋白は、通常は特定の物質の刺激を受けたときにだけ細胞の増殖を促しますが、異常が起こると常に増殖の合図を出してしまうため、細胞が異常に増殖し続けてしまいます。これを放置しておくと、腫瘍がどんどん大きくなってしまいます。また、GISTは胃がんや大腸がんに比べて症状が現れにくく、また症状があっても軽度であることが多いため、診断が遅れ病気が進んでから発見されることも少なくありません。

治療について

GISTでは、どのような治療が行われるのですか?

GISTの治療では、初発で手術ができる場合には外科手術が最も有効で、第一選択となります。特にGISTの場合は、完全切除をしたときには他の消化器がんと比べて比較的治癒率が高いことが知られています。ただし、再発した場合や手術で切除できない場合は、薬(イマチニブ)による治療が必要となります。
参照診断・治療のトレンド「GISTの治療戦略:GIST治療では外科切除が最優先」

GISTの「低リスク」、「高リスク」ということについて教えてください。

GISTは、良性か悪性か、という判断が難しいため、再発の危険性の高さによって、高リスク・低リスクという分類をしています。下に示す基準に従って、再発率の高いGIST を高リスクGIST 、比較的低いGIST を低リスクGIST と呼びます。GISTのリスク分類は、腫瘍の大きさと腫瘍細胞分裂がどのくらい活発か(つまり、腫瘍細胞がどれだけ元気に増えているか)ということが基準となっています。

表
*:高倍率視野50視野(一般的には400倍視野)あたりの細胞分裂を示す腫瘍細胞数
HPH:High-Power Field(×400)

Fletcher CDM et al.Hum Pathol 2002;33:459-465

手術で切除をすれば、再発はしませんか?

GISTでは、手術により完全切除された場合の再発率は、他のがんに比べて低いことがわかっており、初発の場合に外科手術が第一選択となります。再発率は、腫瘍径の大きさに応じて高くなることがわかっています(下表)
なお、GISTの再発は3年以内に多く、主にお腹の中に再発することが多く、局所再発(元々腫瘍のあった場所に再発)のほか、腹膜播種や肝臓への転移がしばしばみられます。
*腫瘍径以外にも再発率を高める要因は種々報告されています。

表
大阪大学および関連病院の286例のデータより

再発した後の治療法について教えてください。

再発の治療としては、原則として、イマチニブという薬による治療が勧められます。ただし、他臓器転移を有しない局所再発では再度手術をしたほうがよい場合がありますので、主治医の先生にご相談ください。
参照診断・治療のトレンド「GISTの治療戦略:再発した場合には、再手術または薬物療法を実施」

GISTには免疫治療は有効ですか?

現在のところ、GISTに対して免疫治療の有効性を示唆するデータはありません。

GISTには放射線治療は有効ですか?

GISTの骨転移に対する放射線治療では、除痛・増大抑制などが期待されますが、その効果は限定的です。現時点でGISTに対して放射線治療が有効であると明確に示すデータはありません。

イマチニブについて

イマチニブ(グリベック)とはどのような薬なのですか?

イマチニブは、いわゆる「分子標的治療薬」と呼ばれる薬で、がん細胞の増殖過程における指令系統を分子レベルでブロックします。つまり、KITあるいはPDGFRαというタンパク質の異常な活性化でGIST腫瘍細胞の増殖はおこりますが、このタンパク質の異常な活性化を阻害し、病気の進行をおさえます。もともとは、慢性骨髄性白血病(CML)のため開発された薬でしたが、GISTでも効果があることが認められました。
そのほか、イマチニブ(グリベック)についての情報は、当ホームページ内「グリベック服用中の患者様へのアドバイス」をご覧ください。

どのような場合に薬物療法(イマチニブ)を始めるのでしょうか?

GISTは初発では手術がもっとも有効です。しかし、(1)手術ができない場合や完全に切除ができない場合、(2)転移、再発をした場合、(3)手術で完全に切除された後に再発を抑制する目的、にイマチニブによる治療を開始します。
参照診断・治療のトレンド「GISTの治療戦略:外科切除ができなかった場合はお薬による治療を実施」

イマチニブの服用で日常生活に支障は出ますか?

浮腫、吐き気や下痢など、何らかの副作用はほぼ100%の患者さんに発生しますが、多くが軽~中程度のものです。ですから、日常生活を送るうえでの支障は多くはないといえます。ただし、重篤な副作用も報告されていますので、気になる症状がでたときには、すぐに主治医の先生に相談してください。
参照診断・治療のトレンド「GISTの薬物療法:イマチニブでしばしばみられる副作用、イマチニブにも重篤な副作用がある」

服用量と副作用には相関性はありますか?

あります。高用量になればなるほど副作用は強く、多くなります。
服用時間によっては、診察時には副作用がなくなってわからないことがあります。いざ診察室に入った時に何ともない場合もありますので、副作用については薬をいつ飲んで、副作用が何時に出たかということをメモしておくとよいでしょう。
頻度的には少ないのですが、免疫的な機序や薬剤の蓄積によって起こる場合には、服用量とは関係なく起こりますので、少ない服薬量でも体調に変化があれば、メモに記載しておくことが重要です。
GIST手帳(コミュニケーション手帳)、服薬日誌(服薬記録)のようなものをもらっている方はこれに記載しておいて主治医に見せてください。

効きめと副作用には相関性がありますか?

イマチニブには何らかの副作用が100%ありますが、100%の患者に効果が出ません。効果と特定の副作用の相関については明確ではありません。

副作用がきつく4錠/日が耐えられません。2錠/日で続ける方法と3錠/日を2週ないし3週続けて飲んで1週休む方法では、どちらがよいのでしょうか。

2錠/日を続ける方法と3錠/日で休薬をする方法の優劣を判断するデータはありません。臨床試験の結果ですと、2錠/日では十分な効果が得られる患者は少ないようです。また休薬を繰り返すことで薬効耐性を惹起する可能性が懸念されます。十分な治療効果を得るために3錠/日の継続をお勧めします。副作用の具体的な対処法については専門医にご相談ください。

血中濃度を調べれば減薬できると聴いたのですが、その方法を教えてください。

血中濃度と有効性については、100%一致するわけではありません。個人差があります。お薬による治療では、副作用と臨床的な効果のバランスとうまく取ることになるので、GIST研究会に参加されている施設の先生などの「専門医」のところへ行って相談してください。

イマチニブの奏効率はどれくらいなのでしょうか?

イマチニブのGISTに対する長期の有効性および安全性を検討した海外のB2222試験の結果は下記のとおりとなっています。

対象 KIT陽性の切除不能または転移性のGIST患者さん147名
試験の方法 イマチニブ400mg(73名)または600mg(74名)を1日1回3年間服用(コア試験)し、服用中に進行がみられた場合に、600mgもしくは800mg/日(1日2回400mg)まで増量
結果 腫瘍が完全に消失した患者さん 2名(1.4%)
腫瘍が50%以上縮小した患者さん 98名(66.7%)
腫瘍が安定し、進行が止まった患者さん 23名(15.6%)
病勢の進行がみられた患者さん 17名(11.6%)
評価不能または不明の患者さん 7名(4.8%)

参照診断・治療のトレンド「GISTの薬物療法:GISTに対するイマチニブの効果が国内外で確認」

手術をせず、イマチニブの服用のみではいけませんか。

イマチニブは腫瘍の増殖をおさえますが、腫瘍が完全になくなるとは考えられません。個々の症例にもよりますが、唯一治癒が期待できる手術を受けるべきだと考えられます。

再発してからイマチニブを服用する人もいるようですが、予防的に服用する場合もあるとのことです。予防的な服用の利点とは何でしょうか?

昨年(2011年)のアジュバントの臨床試験の結果によると、手術後に予防的にイマチニブを3年間服用した人は、1年間服用した人に比べて、再発が少なく予後(生きられる時間)が長くなることが示唆されました。したがって、利点は、予防的な服用が、その後の再発を抑えるだけでなく、GIST患者さんの寿命を延長する点です。

イマチニブの耐性について教えてください。

耐性とは薬の効果がなく、投与しても腫瘍が増大してしまうことです。イマチニブへの耐性は、治療当初から効果がみられない一次耐性と、治療開始時に効果があっても治療を続けていくうちに効果がなくなっていく二次耐性があります。全GISTの約10%は一次耐性を示します。

再発して手術を受け病変は取り除きましたが、アジュバントで3年服用を勧められました。イマチニブは2年ほどで効かなくなるといいますが、3年服用するのはなぜですか?

再発した患者さんで見ると、確かに全体では2年経つと、約半数の人でイマチニブが効かなくなってきます。しかし、アジュバントは手術でとり切れた患者に再発予防の目的でイマチニブを投与する別の治療です。イマチニブが効いている期間を、治療を始める時に身体に残っている腫瘍の量ごとに比較してみました。そうすると、腫瘍量が少ない人は、5年以上経ってもまだ半数以上の人で効いています。手術後に開始する予防的投与では、当然腫瘍の量は、目に見えないくらい少ないはずですから、量は少なくても目には見えている上記の人より、もっと長く効くことが期待できます。

再発後にイマチニブを服用して一時はCTでも見えないほどまで小さくなりましたが、また増大を始めました。手術で切除する予定ですが、耐性が始まったとすると術後の服用量を増やしたほうがよいでしょうか

イマチニブを増量して、ある程度の効果が期待できるのは、現在のところ、特定の遺伝子変異を持ったGISTだけです。今回は、耐性病変(イマチニブが効かなくなった病変)を取り除くので術後も400 mgのままでよいでしょう。また、手術した腫瘍の遺伝子解析を行うと、次治療の効果予想が可能になる場合があります。

スニチニブについて

スニチニブ服用前に気をつけることはありますか?

傷の治りが悪くなりますので、手術後は1カ月ほど服用を避けてください。高血圧や歯肉炎がある場合は、スニチニブ服用前に治療を受けてください。また、初回投与の初めの2~4週目は、強い副作用が出る可能性があるので、要注意です。

スニチニブ服用後ラジオ波や塞栓術を受けた場合、後の治験の参加条件に影響はありますか?

あります。
スニチニブ治療後には治験、BSC(緩和)、オプション治療(上記等)が考えられます。治験参加の場合、前治療の中身や治験により多少異なりますが、一定期間何もしない期間をおかなければならないので、新薬の臨床試験を受けるのであれば、早めにその治験施設にご相談ください。

イマチニブが効かなくなった、骨への転移があるGISTにはスニチニブは効果がないと聞きました。

他の病変に比べやや効きにくい、という印象はありますが、効く可能性はあります。

その他新薬・治験等について

Masitinib(マシチニブ:AB1010)の可能性は?

第Ⅱ相試験まで進みましたが、その後開発がストップしています。

Cabozanitib(XL184)について

第Ⅰ相試験は済んでいますが、GISTへの臨床開発は考えられていません。

Pazopanibについて

GISTは、現時点は対象外です。承認のための第Ⅲ相試験までは行かないでしょう。

治験情報はJSPICでGISTのキーワードで検索してもヒットは少なく動きも少ないです。もっと良いサイトはありますか?

ないのが現状です。
残念ですが、GISTのみを対象とした早期の薬剤の開発は、まれであると考えていただく方がよいかと思います。JSPICで検索するなら「第Ⅰ相」と対象「すべて」で検索して、その施設に電話するのが一番いいかもしれません。海外では、GISTの多くの患者さんが疾患を規定していない第Ⅰ相試験に参加されます。国内で第Ⅰ相の臨床試験を実施している施設は限定されており、必要であれば国立がん研究センター東病院か中央病院にお電話ください。

がんペプチドワクチンの可能性は?

可能性はゼロではないと思われます。ただ、現在は勧めるほどの根拠は全くありません。

遺伝子解析では患者は何を聞き、どう捉えればよいのでしょうか?

GISTの遺伝子変異は、①GISTの予後に関連する、②イマチニブやスニチニブの治療効果と関連する、③GISTの補助診断になる、④特別なタイプのGISTかどうか明確になる、ことに関連することだけ覚えておいたらいいと思います。

肝臓に転移が見つかりました。これはGIST細胞を持ったがんという認識でよいのでしょうか?

転移したGISTそのものです。GISTは肝臓、腹膜、肺、骨、腎臓、後腹膜どこに転移してもおかしくない腫瘍です。