GIST診断・治療アップデート(2003年)

1. 消化管間葉系腫瘍の分類の変遷

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1-1. 初期(平滑筋芽腫の概念の導入まで)

POINT
1970年頃以前までは,消化管筋層から発生する間葉系腫瘍のほとんどは平滑筋腫瘍と考えられていた。しかし,これらの中には,典型的な平滑筋腫瘍とは異なって,核周囲に空胞や淡明な領域をもつ上皮様の腫瘍が存在し,この腫瘍の性質がいかなるものかが問題となったが,Stoutはこのような腫瘍をleiomyoblastoma(平滑筋芽腫)と呼ぶことを提唱した。
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1-2. Stromal tumorの概念の導入とRosaiの分類

POINT
1970年前後からの電子顕微鏡の導入と1980年頃からの免疫組織化学の適応により消化管間葉系腫瘍の多くが平滑筋細胞としての特徴像を有していないことが明らかとなり,消化管間葉系腫瘍をstromal tumorと呼ぶことが提唱された。そしてRosaiは消化管に発生する非上皮性腫瘍すべてを広義のGISTとし,GISTをsmooth muscle type,neural type,combined smoothmuscle-neural type,uncommitted typeなどに分類した。
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1-3. KITを中心とした消化管間葉系腫瘍の分類

POINT
1990年代半ばにCD34が紡錘状形態の腫瘍にも上皮様形態の腫瘍にも発現していることが示され,形態は異なるが,腫瘍の本質は同じであることが示唆された。そして1998年にc-kit遺伝子産物(KIT)が消化管間葉系腫瘍のある一群に発現していることが明らかにされ,典型的な平滑筋腫や神経鞘腫以外の消化管間葉系腫瘍の共通の一群,すなわち現在のGISTがほぼ100%診断可能となった。
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