GIST診断・治療アップデート(2003年)

2. GISTの診断

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2-1. GISTの特殊性

POINT
腫瘍はその特殊性から分類されるものである。その特殊性は,腫瘍の発生起源や腫瘍化の機序,治療に対する反応性などから由来するもので,GISTはいずれの意味においても特殊な腫瘍と考えられ,1つの腫瘍型として分類されるべきである。
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2-2. GISTの定義

POINT
現時点でのGISTの大まかな定義としては,消化管壁に発生する間葉系腫瘍のうちKITを発現する腫瘍,言い換えるとICCsへの分化を示した腫瘍ということができる。しかし少ないながらKIT陰性のGISTも存在することから,一言ですべてのGISTを定義するのは実際は難しい。
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2-3. 免疫組織化学による消化管間葉系腫瘍の分類・鑑別法

消化管間葉系腫瘍の多くはGISTで,また通常のHE染色で多くの腫瘍はその組織型の予測が可能であることから,現時点では最終的な診断は免疫組織化学によって行われるべきである。KIT・デスミン・S-100蛋白が個々の腫瘍において同時に発現することがほとんどないために,この3種類の免疫組織化学を基本に考えると消化管間葉系腫瘍のほとんどを分類できる。
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2-4. GISTの病理学的特徴

POINT
GISTはそのほとんどがKIT陽性を示し,消化管全体の間葉系腫瘍の約80%を占める。GISTは,胃・小腸に発生することが多い。大腸や食道からの発生のほか,稀に腸間膜や大網から発生したと思われる例もある。
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2-5. 臨床診断

1) 発生

POINT
GISTは食道から直腸までの主として平滑筋層ないし粘膜筋板層に発生する。粘膜下腫瘍として診断され,壁内発育型,管内発育型,管外発育型,混合型の発育様式を示し,発生頻度は人口100万人あたり20人/年と推測される。GISTは50歳代~60歳代に多く,胃>小腸>大腸>食道の順に多い。
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2) 症状・所見

POINT
GISTは症状が現れにくく,腫瘍が大きくなるまで症状所見に乏しい。また,症状所見が現れたとしても非特異的で発生場所に依存した症状も多い。最も多い症状所見は,出血,腹痛,腫瘤触知である。
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3) 検査

POINT
上部消化管のGISTは胃癌の検診時に上部消化管造影あるいは内視鏡検査で発見されることが多い。その進展様式や進行程度の診断にはCT(ないしMRI)が有用である。特に,小腸あるいはそれより下部のGISTにはCT(ないしMRI)が有用である。GISTという最終診断を行うためには病理組織診断が必要であるが,このためには腫瘍の吸引細胞診あるいは穿刺組織診が有用である(図2-3)。
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4) 臨床鑑別診断

POINT
基本的には粘膜下腫瘍としての鑑別診断が必要である。
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