GIST診断・治療アップデート(2011年)

GIST診療ガイドラインの小改訂

国立がん研究センター中央病院 西田 俊朗 先生

2004年にNCCN(National Comprehensive Cancer Network)よりGIST診療ガイドラインが示され、その後ESMO(European Society for Medical Oncology)等々各国独自の診療ガイドラインが策定された。本邦でも2008年3月に、日本癌治療学会、日本胃癌学会、GIST研究会三者合同でGIST診療ガイドラインが策定され、同年秋に改訂第2版が出版された。本ガイドラインは“evidence-based consensus guideline”で、日本におけるGISTの診断と治療の標準的な方法を示した医師用ガイドラインである。幸い本ガイドラインは、全体として推奨できる内容のガイドラインと評価されてきた。
本ガイドラインは3年を目処に定期的に見直し改訂することが示唆されているが、その後、GIST診断基準や治療・評価方法に関して新しい知見が増え、国内外でのGIST診断・治療も変化した。欧米のガイドラインは少なくとも2年おきに見直しがあり、初発GISTのリスク評価や局所進行GISTに対する集学的治療の意義・推奨度、薬物療法に対する治療効果判定基準に大きな変更が行われた。また、わが国でも保険診療上も集学的治療でのイマチニブ使用が容認され、FDG-PET検査も保険収載された。これらの事実を鑑み、2010年11月、本邦のGIST診療ガイドラインの小改訂が行われたので、本稿で簡単にご紹介申し上げる。

リスク分類:Miettinen-NCCN分類とFletcher分類の並記

初発GISTのリスク分類は、本邦では腫瘍径と腫瘍細胞の核分裂像数によるFletcher分類にclinically malignant GISTの概念を加えた、modified NIH risk classificationを用いてきた。一方、NCCNでは、腫瘍径と核分裂像数に腫瘍発生部位を加えたMiettinen-NCCN分類やprognostic nomogramを用い、より再発リスクの高いGISTの抽出を行っている1)。2009年に改訂されたESMOのガイドラインでは、Fletcher分類とMiettinen分類が併用されている2)。今回、本邦のガイドライン小改訂で、Miettinen分類が追記され、Fletcher分類とMiettinen分類が並記されることとなった。(参照:リスク分類

薬物治療における効果判定:RECIST基準とChoi基準の並記

薬物治療における効果判定に関しては、従来、造影CTを用いRECIST1.0あるいは1.1基準で行っていた。FDG-PET検査の承認に伴いGISTの分子標的治療に関しては、CTでの判定が困難な場合、FDG-PET・PET-CT判定も有効であることや、FDG-PETの効果判定を良く反映し、6ヵ月以上の長期治療効果と関連する造影CT画像判定基準であるChoi基準3)も早期治療効果判定や耐性診断に有用であることが記載された。(参照:CTの診断解説

集学的治療の位置付け

局所進行GISTは外科治療単独でもイマチニブ治療単独でも根治は難しい。これらの症例の予後改善を目的に、外科治療とイマチニブ治療を組み合わせた集学的治療が行われることがある。この外科手術+イマチニブ治療という集学的治療に関し、いくつかの臨床的エビデンスが報告された4)。1年間のイマチニブ400mg/日のアジュバント療法は、忍容性があり無再発生存期間(RFS)を延長することが示され(エビデンスレベル1b)、再発リスクの高いGISTに対しアジュバント療法(推奨度B)が推奨された。ただし、その対象者(リスク分類等)、治療期間、全生存への影響等は不明のままである。一方、イマチニブネオアジュバント療法もいくつかの報告がみられたが、決定的なものはなく、適応、安全性、有効性、機能温存や予後改善効果は不明のため推奨度Cとされた。(参照:アジュバント療法ネオアジュバント療法

以上の三点:1.リスク分類、2.画像評価法、3.集学的治療に関し現状の問題点を考慮し、GIST診療ガイドラインが小改訂された。

文献

  • 1)Demetri GD et al: NCCN Task Force report: update on the management of patients with gastrointestinal stromal tumors. J Natl Compr Canc Netw 8 Suppl 2: S1-S41, 2010
  • 2)Casali PG et al, ESMO Guidelines Working Group: Gastrointestinal stromal tumours: ESMO clinical recommendations for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol 20 Suppl 4: 64-67, 2009
  • 3)Choi H et al: Correlation of computed tomography and positron emission tomography in patients with metastatic gastrointestinal stromal tumor treated at a single institution with imatinib mesylate: proposal of new computed tomography response criteria. J Clin Oncol 25: 1753-1759, 2007
  • 4)DeMatteo RP et al: Adjuvant imatinib mesylate after resection of localised, primary gastrointestinal stromal tumour: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 373: 1097-1104, 2009