GIST診断・治療アップデート(2011年)

CTの診断解説

大阪大学大学院医学系研究科 放射線医学講座
金 東石 先生

CTを用いた画像診断

CT像上、直径3cm以下の小さなGISTでは比較的内部が均一な腫瘤として認められるが、4cmを超えて腫瘍径が大きくなると造影されない壊死を伴うことが多くなり、不均一となることが多い。嚢胞状腫瘤の形態を示すGISTもまれにみられる。しかしながらGISTの術前診断においては、消化管粘膜下や消化管壁から発生する他の腫瘍との鑑別および確定診断はCTを含む画像診断では困難である。術前診断におけるCTやMRIなどの断層画像検査の役割は、腫瘍の同定および経過観察におけるサイズの増大の判定、消化管から壁外発育を示す腫瘍か消化管に近接した他臓器から発生した腫瘍かの鑑別、周囲臓器への浸潤や進展、転移の診断などであり、これらの目的においては有用な検査法である。
腫瘍の良悪性の判定では、サイズの大きな腫瘍では悪性の可能性が高い。MRIは肝転移、骨盤内腫瘤の診断においてCTよりもすぐれるが、撮影時間が長いことや、消化管壁の小さい腫瘍の診断にはCTの方がすぐれ、CTには広範囲を短時間で検査できるという利点もある。動脈血流に富む多血性のGIST肝転移のCT診断においては、造影剤急速静注後の動脈相を含む多相性撮影が有用であり、多血性のGISTは動脈相で周囲肝よりも強く造影される病変として描出される。
CT、MRIなどの断層画像検査、特にCTは腫瘍の治療効果判定、術後・化学療法後の経過観察および再発・再進行の診断のために臨床的に最も頻用されている検査法である。現在、臨床試験や日常診療で用いられる抗癌剤の効果判定基準としては、WHO基準、RECIST基準1)2)、Choi基準3)がある。

RECIST、Choi基準を指標とした効果測定

RECISTは一次元測定で腫瘍の最長径を用いた判定基準であるが、近年開発された分子標的治療薬による治療時や肉腫の治療時にみられる腫瘍縮小を伴わない予後改善(long stable disease: long SD)を反映できない。GISTで新たに提唱されたChoi基準はRECISTと同様に腫瘍の最長径の一次元測定とともに、FDG-PETで捉えられる腫瘍の代謝変化に相関するCTでの腫瘍造影効果の変化を指標として加えた基準で、long SDを的確に捉えることができる。つまり、治療後に腫瘍径の変化がなくても、CTでの造影効果の低下(造影CTでのCT値の低下)がみられれば、治療効果ありと判断でき、腫瘍径の増大がなくても、造影効果の増強(CT値の上昇)があれば、再進行と判断できる(図1)。病変進行あるいは薬剤耐性の判定において、RECIST基準では新規病変の出現や腫瘍径の増大をもってPD (progressive disease)とされていたが、GISTではこれ以外に約1/3の患者さんに薬剤の抗腫瘍効果により縮小あるいは造影効果が低下して低吸収化した病変内に新たに造影効果を認める部分が出現する腫瘍内結節パターンがあり、Choi基準ではGISTの薬剤耐性画像所見を広く考慮していることになる。また治療開始直後に、抗腫瘍効果により腫瘍内部に変性が起こり低濃度化するが、腫瘍サイズが逆に増大するものや、治療開始前にはCTでは描出されなかった腫瘍が、抗腫瘍効果により低濃度化することによって顕在化してくるものもある4)。なお、RECISTは2009年に改訂され、version1.1となり、FDG-PETでの評価が加えられ、FDG-PETで陽性となったものはPDと判断することとなった。

図1 副作用のためにイマチニブ治療を中止後、腫瘍の再増大を認めたためにスニチニブ治療を行った切除不能胃GISTの造影CT像

CT像a
a. スニチニブ治療開始前。巨大な胃GISTの再増大を認め(*)、多発する腹膜播種も認める(→)。
CT像b
b.スニチニブ治療開始後、造影CTで腫瘍の縮小とともに濃度の低下を認める。
CT像c
c. 治療の経過中、腫瘤内に濃度の上昇(造影効果)がみられ、腹膜上にも結節(→)が再び出現し、腫瘍の再進行がみられた。

文 献

  • 1)Therasse P et al: New guidelines to evaluate the response to treatment in solid tumors. European Organization for Research and Treatment of Cancer, National Cancer Institute of the United States, National Cancer Institute of Canada. J Natl Cancer Inst 92: 205-216, 2000
  • 2)Eisenhauer EA et al: New response evaluation criteria in solid tumours: revised RECIST guideline (version 1.1). Eur J Cancer 45: 228-247, 2009
  • 3)Choi H et al: Correlation of computed tomography and positron emission tomography in patients with metastatic gastrointestinal stromal tumor treated at a single institution with imatinib mesylate: proposal of new computed tomography response criteria. J Clin Oncol 25: 1753-1759, 2007
  • 4)Choi H et al: CT evaluation of the response of gastrointestinal stromal tumors after imatinib mesylate treatment: a quantitative analysis correlated with FDG PET findings. AJR Am J Roentgenol 183: 1619-1628, 2004