GIST診断・治療アップデート(2011年)

可能性のある3rd line治療、今後開発される可能性のある薬剤

国立がん研究センター東病院 消化管内科
土井俊彦 先生

現在、GISTに対して承認されている薬剤は、イマチニブ(グリベック®)、スニチニブ(スーテント®)の2剤であり、2剤不能の場合には、BSCもしくは、イマチニブまたはスニチニブの緩和的意味での継続である。すでに他の疾患で利用されている薬剤の少数例の検討において有効性が認められている薬剤として、ニロチニブ(タシグナ®)、mTOR阻害剤エベロリムス(アフィニトール®)、テムシロリムス(トリセル®)、ソラフェニブ(ネクサバール®)などがあるが、いずれも少数例の報告のため生存への効果については明確ではない。また、わが国においては、保険適応がないため自由診療となること、副作用管理の点から使用可能な専門医が少ないことも問題である。

ニロチニブ(タシグナ®)

ニロチニブはBcr-Ablに対してイマチニブより高い親和性が得られるようデザインされた第二世代のチロシンキナーゼ阻害剤である。イマチニブ同様非活性型のKITしか阻害しない。イマチニブより忍容性が高く、投与量800mg/日がイマチニブ耐性慢性骨髄性白血病(CML)で承認されている。ニロチニブはPDGFR、KITに対する阻害作用も有し、イマチニブ耐性となったGIST患者さんを対象とした第Ⅰ相試験や、イマチニブ・スニチニブ耐性のGIST患者さんに対するcompassionate useにおいて奏効例を認めたことから(ASCO2008, #10553, Eur J Cancer 2009)臨床開発が進んでいる。イマチニブ・スニチニブ耐性のGIST患者さんを対象に、ニロチニブ 800mg/日とbest supportive care(BSC)を比較した第Ⅲ相試験(CAMN107A2201)が行われたが、優越性を証明できなかった。切除不能のGIST患者さんに対する初回治療としてのニロチニブ800mg/日とイマチニブ400mg/日(c-kit遺伝子エクソン9変異例では800mg/日への増量可)の比較第Ⅲ相試験(CAMN107G2301)が行われており結果が待たれる。

レゴラフェニブ

経口マルチキナーゼ阻害剤のレゴラフェニブは、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血管内皮細胞に特異的に発現するTIE-2受容体、血小板由来成長因子受容体(PDGFR-β)などを標的とする。レゴラフェニブは、前述したソラフェニブと似た構造をもつことからGISTへの有効性が期待されている。欧米を中心とする研究者主導試験の結果での有効性を受けて第Ⅲ相試験が進行している。イマチニブとスニチニブで治療した後に進行した転移性または切除不能のGIST患者さんを対象に、レゴラフェニブ投与と支持療法(BSC)を行う群と、BSCのみを行う群を比較する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の第Ⅲ相試験(NCT01271712)が進行している。プラセボ投与を受けた患者さんで進行を認めた場合は、非盲検でレゴラフェニブへのクロスオーバーが可となっている。

その他の薬剤

早期開発の段階(第Ⅰ相試験)の薬剤については、非常に多くの薬剤が開発されており、HSP90阻害剤、Akt阻害剤、IGF1R阻害剤、MEK阻害剤、PDGFR阻害剤など多くの臨床試験(治験)が行われ、前臨床や早期の段階での軟部組織肉腫(STS)(GISTも含まれる)で有効性を認めている。GISTにおける化学療法の重要なポイントは、新薬(第Ⅰ相試験)の導入を見据えて治療を考える必要があることである。